「メシマコブ」の学術研究成果をもとにポイントをまとめてあります。 | |
T.「メシマコブ」の4大抗ガン効果とは? | |
U.「メシマコブ」の免疫活性パワーとは? | |
V.「メシマコブ」は食べて効果があるの? | |
W.「免疫」は頼もしい生体防御システム。 | |
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T.基礎研究でわかった「メシマコブ」の4大抗ガン効果とは
(医師たちが高い評価をする理由)
「メシマコブ」の抗ガン効果を科学実験した
一般に、抗ガン剤と呼ばれるものの多くは、ガン細胞に直接作用して、これを攻撃・破壊する強い効力をもっています。
しかし、ガン細胞だけでなく正常細胞まで傷つけてしまうため、かならずといってよいほど副作用がともないます。
実際、ガンではなく副作用が原因で死亡するケースもあり、「ガンを消すのと引きかえに、命を縮める」とさえいわれます。
いっぽう、同じ抗ガン剤でも、キノコからつくられた製剤には、人間の身体に本釆そなわっている免疫機能を活性化させ、
間接的にガン細胞を叩くという性質があります。これには正常細胞の破壊も、それに付随する副作用もほとんどありません。
ただ、どんなに安全でもガンを抑える力がなければ無効と評価されても仕方ありません。
キノコ由来の製剤のなかには、一度は抗ガン剤として認められながら臨床成績が上がらず、再評価の対象となったものもあります。
クレスチン(カワラタケ由来)なども、現在は使用条件つきで辛うじて抗ガン剤としての命脈を保っているような状況です。
「メシマコブ」も、免疫機能の活性化を通してガンを封じ込めることを真骨頂としますが、
ガンに対する効果は果たして本物なのでしょうか。この疑問を解決してくれるのが、韓国の兪益束博士らによる各種実験データです。
兪博士は、マウス(実験用のネズミ)を使って、さまざまな角度からメシマコブのもつ能力を調べてきました。
なぜマウスで実験するかというと、人間は気の持ちようによって、薬の効果に大きな差がでてくるからです。
極端な場合、偽薬(プラセボ)でも効くことがあります。
また、マウスで実験することでガンのステージを揃えられるといったメリットもあります。
さらに、マウスの寿命は180〜200日と短く、60日の延命は人間の10年以上にあたることも大きな理由です。
実験により、ガンに関してはとくに、
@増殖抑制・延命効果、
A転移抑制効果、
B抗ガン剤との併用効果および副作用軽減効果、
C発ガン予防効果が顕著
であることが明らかになっています。
兪博士らの基礎研究を踏まえながら「メシマコブ」の抗ガン効果について具体的に見ていきましょう。
1.増殖抑制・延命効果
ガンは大きくならなかつた
最初に兪博士らは、「メシマコブ」の抗ガン作用について調べました。
マウスの脚部に「メラノーマ」というガン細胞を移植してガンを発生させ、
「メシマコブ」を投与した場合と、投与しない場合とで、
その後のガン細胞の増殖にどのような差が生じるかを比較したのです。
グラフ1はその結果ですが、何も投与しないほう(コントロール群)は、
15 日目を過ぎたころから徐々に肥大し、
19日目には150立方ミリメートルあまりの腫瘍に成長しています。
これに対して、「メシマコブ」を投与したほうは、わずかにサイズに変化が見られる程度。
つまり「メシマコブ」がガン細胞の増殖を阻止したことが示唆されます。
ちなみに、この増殖抑止の効果は、
悪性リンパ腫や乳ガンなどの治療によく用いられる抗ガン剤のアドレアマイシンと同程度です。
マウスの生存期間がl.5倍も延びた
兪博士らは、次に、「メシマコブ」の延命効果について調べています。
この実験では、無菌マウスにきわめて悪性度の高いガン細胞(B16F10メラノーマ)を移植した後、
「メシマコブ」を投与したグループ(投与期間は12日間)と、
何も投与しないグループ(コントロール群)と二つに分けて、生存期間を比較しました。
その結果を表したのがグラフ2です。
「メシマコブ」を投与しないグループは、ガン発生から25日目を目前にしてすべて死亡。
これに対し、「メシマコブ」を投与したグループはそれより長い期間生き延び、
35日目を過ぎて最後のマウスが死亡しています。
2.増殖抑制・延命効果
ガン紬胞の肺への転移を74%も抑制
ガンの治療を終えた患者が一番怖れるのは、いつ再発・転移するかという点につきるのではないでしょうか。
「病巣は完全に取り除いたから、もう大丈夫」と医者に太鼓判を押されても、
一度ガン体質であることを知ってしまった人には、気休めにすぎないこともあります。
ガンに対する不安や恐怖は何も知らないで生活していたころの比ではないのです。
その意味で、兪博士らが「転移」に焦点を当てておこなった次の実験結果は、ガン患者の大きな救いとなるにちがいありません。
兪博士らは、マウスのシッポの静脈に、B16F10メラノーマを移植した後、
1.何も投与しないグループ(コントロール群)、
2.抗ガン剤のアドレアマイシンを投与したグルーブ、
3.「メシマコブ」を投与したグループの三つに分けて
肺への転移をどれだけ阻止できるかを比較しています(グラフ3)。
この実験で、「メシマコブ」を投与したグループは、何も投与しないグループに比べて、
ガン細胞の肺への転移が74%も減少することがわかりました。
いっぽうのアドレアマイシンは44%に止まっています。
3.抗ガン剤との併用効果・副作用の軽減効果
「メシマコブ」を抗ガン剤と併用したらどうか?
抗ガン剤は、血流に乗って全身に行き渡るため、胃ガンや大腸ガンなどの固形ガンより、血液のガンである悪性リンパ腫や白血病などに有効とされています。
また、手術などで完全に摘出できなかった小さなガンを取り除く為にもよく使われます。投与方法も投与量もまちまちですが、
治療効果を高めたり、副作用や2次ガンの誘発を防ぐために数種類の抗ガン剤を組み合わせて用いるのが一般的です。
抗ガン剤は、白血球や血小板の減少など、正常細胞にまで悪影響を与えることから、あまり良いイメージをもたれていませんが、
その細胞毒性さえ抑えることができれば、ガンの治療薬として侮れない存在であることはいうまでもありません。
兪博士らは、抗ガン剤と「メシマコブ」の併用によって治療効果と安全性が高まるのではないかと考え、アドレアマイシンを使って「メシマコブ」との相乗効果を調べています。
実験は、前述の延命効果を調べたのと同じ方法でおこなわれていますが、マウスに関しては、
1.何も投与しないグループ(コントロール群)、
2.「メシマコブ」を単独で投与したグループ、
3.アドレアマイシンを単独で投与したグルーブ、
4.「メシマコブ」とアドレアマイシンを併用したグループの4つのパターンに分けられました。
抗ガン剤の効果を高め、つらい副作用を軽減
この実験結果について、まず注目してほしいのがグラフ4です。
「メシマコブ」とアドレアマイシン(通常用量の10%)を併用した場合、
60日後のマウスの生存率は約40%。
コントロール群や抗ガン剤を単独で投与した場合(40日後にすべて死亡)
に比べて、
生存期間がかなり延びているのがわかります。
次に、まったく同じ条件下で、アドレアマイシンのみを3倍量(それでも通常用量の30%)に
増やして実験をおこなったところ、グラフ5に示したような結果が得られました。
アドレアマイシンは、量を増やしたことで単独でも顕著な延命効果を上げていますが、
それ以上に注目しなければならないのは、「メシマコブ」との併用によってマウスの生存率を
飛躍的にアップさせたことです(60日目を過ぎても約90%が生存)。
「メシマコブ」は、抗ガン剤の抗ガン効果を著しく増大させただけでなく、
抗ガン剤の副作用も軽減してマウスを延命に導いたことが示唆されています。
4.発ガン予防効果
予防的な投与で生存率が大幅にアップ
兪博士らが、さらに着目したのが「メシマコブ」の予防効果です。
これも延命効果を調べたときと同じ実験方法を用いて、
「メシマコブ」を投与したグループと投与しないグループの生存期間を比較しています。
この実験の大きな特徴は、前者のグループに対して、B16F10メラノーマを移植する7日前から「メシマコブ」の投与を開始したことです。
つまり、ガンを移植する前に、あらかじめ「メシマコブ」を投与しておいた場合、生存期間にどれだけ影響がでるかを調べたのです。
結果は一目瞭然です。グラフ6から、「メシマコブ」を投与したグループの生存率が大幅に改善され、
35日目を過ぎても約60%のマウスが元気に生存したことがわかります。
日ごろから「メシマコブ」で免疫機能の改善をはかっておけば、
ガンの猛威に屈しない強靭な身体がつくられることをこの実験結果は示唆しています。
この結果、正常マウスのグループではBがAの約3倍、ガンマウスのグルーブではDがCの約5倍という数値が得られました。
つまり、「メシマコブ」はマクロファージの活性を約3〜5倍増強することがわかったのです。
活性化されたマクロファージは、ガン細胞を貪食する食細胞としての能力を高めるだけでなく、
抗原提示に始まる一連の情報伝達を通じて、リンパ球やサイトカインの働きを促し、ガンを駆逐する体制をより堅固なものにします。
また、NO(一酸化窒素)により、直接ガンを攻撃することもわかってきました。
キム博士は、同じ実験方法でTリンパ球の遅延型過敏反応についても観察していますが、
その反応が「メシマコブ」を投与した正常マウスで約3倍増強されたことを確認しました。
それだけ免疫が賦活され、抗原に対する抵抗性が強まったことを意味します。
ガンを移植したマウスの抗体反応が129倍に
忠南大学校薬学大学のジョン・キョンス博士も、1991年から翌年にかけて、
「メシマコブ」の免疫系全体に及ぼす影響について調べています。
実験は多岐にわたるため、詳細は省略しますが、結果として次のような結論が導きだされています。
左図(「メシマコブ」体内作用のしくみ)参照。
1.免疫の重要器官である、肺臓内のBリンパ球とマクロファージの活性を増強
2.ガンマウスの抗体反応を129倍増強
3.牌臓内のリンパ球の形成能力を3.3倍増強
4.腹腔細胞がガン細胞を死滅させる能力を増強
このなかで、とりわけ目につくのが、2に見られる抗体反応を129倍に増強という数値です。
国内では、クレスチン(カワラタケ由来)が52倍だったという研究報告もありますから、
『メシマコブ』のBリンパ球に対する影響力がいかに強いかがわかります。
一般にガン患者は、手術後の体力低下、抗ガン剤による骨髄の損傷などによって免疫力が落ち、感染症にかかりやすくなる傾向が見られます。
ガンによってではなく、感染症で命を落とすケースも少なくありません。抗体産生能力とは、感染症の原因となるウイルスや細菌をシャットアウトする力のことですから、
「メシマコブ」によって、ガンと病原体という内外の敵を堅固な二重のバリアでブロックできるのは、非常に心強いことです。
「メシマコブ」がBリンパ球の抗体産生能力を増強することは兪益東博士も確認しており、ほかにも、元慶煕大学校東西医学研究所所長の洪南斗博士(現韓国新薬副会長)は、
ガンの天敵ともいうべきNK細胞の活性を約2倍増強させたという研究結果を報告しています。
免疫機能の低下で起こる各病気にも有効
免疫活性作用の強い「メシマコブ」は、免疫機能の異常が原因で起こるガン以外の病気にも有効と考えられており、
現在、生活習慣病や自己免疫疾患などへの作用についても、さまざまな角度から研究が進められています。
自己免疫疾患とは、免疫機能に異常が生じることによって、「自反応性T細胞」とよばれる自己と非自己(抗原)の区別がつかなくなったT細胞によって、自己が攻撃される病気です。
これには特定の臓器に症状が現れる場合と、全身に現れる場合があります。
たとえば、
遺伝子DNAが攻撃されるのが膠原病の一種である全身性エリテマトーデス、
すい臓(ランゲルハンス島)のβ細胞が攻撃されるのがインシュリン依存型(I型)糖尿病、
結合組織である膠原腺維(コラーゲン)などが攻撃されるのが女性に多く見られる慢性関節リウマチ、
皮膚を攻撃するのが乾癖、ほかに重症筋無力症や掌雛膿咆症などがあります。
原因は自己反応性T細胞のアポトーシス(細胞の自殺)が不十分なことにあるとされています。
どういうことかというと、免疫の仕組みのところで説明するように、Tリンパ球は骨髄で生まれてから胸腺に移動して、教育訓練を受けます。
教育訓練とは、自己と非自己を識別する能力を養うこと、つまり、自己を攻撃しない能力を身につけることです。
ふつう、この能力を身につけられるのはTリンパ球全体の3%程度にすぎませんが、自己を攻撃する異常免疫細胞はアポトーシスによって淘汰されます。
自己免疫疾患は、淘汰されるべき自己反応性のTリンパ球が生き残り、自己である正常な細胞や組織・臓器を攻撃してしまう病気なのです。
こうした病気にならないためには、免疫機能を、常に正常状態に保つことが大切ですが、
「メシマコブ」利用者のなかから、糖尿病や慢性関節リウマチ、重症筋無力症、掌雛膿痘症などが改善されたという声が相次いで報告されていることから、
「メシマコブ」が免疫機能の改善に貢献していることが示唆されます。
糖尿病の予防・改善にも大きな期待
ガン以外の病気で、現在までにたしかな実験データが上がっているのは、糖尿病に対する予防効果です。
糖尿病は、今述べたような膵臓のβ細胞が破壊される自己免疫疾患タイプの「インシュリン依存型T型」糖尿病と、
過食や運動不足などが原因で起こる生活習慣病タイプの「インシュリン非依存型(H型)糖尿病」に大別されます。
兪益束博士は、糖尿病モデルマウスを使った実験で「メシマコブ」の実際的な効力を裏づけています。
兪博士は、マウスを「メシマコブ」投与グループと非投与グループの二つに分け、両グループとも7週間目まで高栄養食を与え、
8週目から一方のグループにのみ「メシマコブ」を投与して、その経過を観察しました。
結果は、非投与グループは、14週目から糖尿病に罹患する数が増え始め、25週目で約80%が罹患しました。
これに対して、「メシマコブ」投与グループは、25週目になってもほぼゼロに近い罹患率でした。
実験後、血糖値の指標となる血液中のグルコース濃度を調べたところ、
非投与グループの平均濃度は500ml/dl。一方の「メシマコブ」投与グループは100ml/dl。
正常値はI10ml/dl〜160ml/dlの範囲内とされていますから、「メシマコブ」投与グループは、
高栄養食にもかかわらず、正常な血糖値を保ったことになります。
血糖値が正常に回復した理由についてはまだよくわかっていませんが、
現時点では、免疫細胞(Tリンパ球)が活性化された過程で分泌されるサイトカインに、
血糖値を下げるインシュリンと同じ働きをする性質があるのではないかと考えられています。
V.「メシマコブ」は食べて効果があることが証明された。
「メシマコブ」の成分の特徴とは
キノコがガンに効くのは、人間の免疫機能を活性化する働きをもっているからですが、
その免疫活性に大きく関与していると考えられているのが多糖体と呼ばれるものです。
多糖体とは、単糖がいくつも結合した高分子(分子量が大きい)化合物のことで、たとえば、ブドウ糖だけで結合したものをグルカンといいます。
キノコには、その種類によってβ‐グルカンをはじめ、α−グルカン、酸性ヘテログルカン、キシログルカンなど、
いろいろなタイプの多糖体が含まれています。
そして、一般には、どんな構造の多糖体がどれだけ含まれるかによって、抗ガン作用もちがってくると考えられているのです。
メシマコブの菌糸体PL2・PL5の熱水抽出物である「メシマコブ」にも、
タンパク質と結合したα-(1→4)グルカンやβ-(1→6)グルカンなどの多糖体が含まれており、
とくに、酸性ヘテロマンナンタンパク複合体に強い抗腫瘍活性があることが、解明されています。
口からの投与でもガン阻止率89.7%
キノコの健康食品の広告などには、吸収性のよさをアピールポイントにしているものが数多く見受けられます。
「吸収性がよいなら、当然、体内でも有効に利用されるだろう。」、そう考えて購入する方も少なくないように、
「吸収性のよさ」は購買意欲をそそる魅力的な言葉になっているのです。
とくに、日常の食生活を通して、ガンなどの対策を考えている人にとっては、注射や点滴ではなく、
食べて効果があるかどうかは最大の関心事であるにちがいありません。
さて、「メシマコブ」の場合はどうでしょうか。
メシマコブは、医薬品の認可を受けている韓国でも、健康食品扱いの日本でも、経口投与の形で用いられています。
つまり、食べても効果があるという前提で提供されているわけですが、このことを具体的に実証したのが、金沢大学薬学部の太田富久教授です。
太田教授は、マウスに「メシマコブ」を経口投与し、ガンの増殖をどれだけ阻止できるかを調べています。
通常、マウスを使った動物実験では、注射による投与を最初におこないます。
国立がんセンター研究所が1968年におこなった研究も、兪益東博士らの基礎研究も、いずれも注射投与という方法がとられています。
太田教授による実験は、ガン細胞(サルコーマ180)を移植したマウスを二つのグループに分け、
一方には比較対照として蒸留水を、もう一方には「メシマコブ」の水溶液を経口投与するというものでした。
投与回数は1日に1回。これを10日間続け、その後、3〜4日ごとに腫瘍のサイズを測り、5週間後に腫瘍を取り出して重量を測定しました。
この結果、「メシマコブ」を投与したグループから確認できたことは、
1.腫瘍の大きさは、比較対照グループの1〜3割にとどまった。
2.投与をやめた後も腫瘍は大きくならなかった、ということです。
とくに1については、マウスによって個体差が見られたものの、
89.7%というきわめて高い増殖阻止率を確認する結果となったのです。
これは、「メシマコブ」の名を世に知らしめた国立がんセンター研究所の
実験結果(阻止率96.7%)と比べても何ら遜色のない数値です。
つまり、「メシマコブ」は、注射であると経口であるとにかかわらず、
ガンの増殖を抑制する強い効果があるということが示唆されます。
腸管には高分子成分を認識する受容体がある。
この実験結果について、太田教授は次のように述べています。
「これまで、高分子の成分は腸管から吸収されないと考えられてきました。
しかし、最近の研究では、腸管にはある種の高分子を認識する受容体があり、
これが認識されれば吸収されなくても免疫活性を上げることがわかってきました。
『メシマコブ』には食べて免疫活性を上げる高分子の有効成分が含まれていると考えられます。」
この発言からすれば、腸管からの吸収性と免疫活性とは区別して考えなくてはならないことになります。
腸管は、栄養吸収の場であると同時に、細菌やウイルスなどの病原体に対応する免疫の最前線でもあります。
腸管にはバイエル板と呼ばれる独特のリンパ節があり、ここに存在するT細胞などのリンパ球集団が、
高分子の化合物を認識した受容体から発せられる信号によって活性化するのではないかと考えられます。
また、太田教授は、キノコなどのもつ免疫活性作用は、特定の成分だけによるものではなく、
複数の成分の働きによってその作用が強められるのではないかとも推測しています。
つまり、一つのキノコから一つの成分を純化して取りだし、ほかの有効成分を捨ててしまった
レンチナン(シイタケ由来)やクレスチン(カワラタケ由来)などのような医薬品とちがい、
熱水抽出物である「メシマコブ」には、いろいろな有効成分が含まれ、
それらが複合的に働いて、高い抗ガン効果を発揮していると考えられるのです。
W.「免疫」は病気を駆逐する頼もしい生体防御システム
人間の体に備わった生体防御システム
ガンが一人の人間の命を奪うほどの大きさに成長するまで、ふつう10〜20年かかります。
仮に50歳で進行ガンと診断された場合、サラリーマンなら中堅どころとしてバリバリ仕事をこなし、
多少のムチャも平気だった30代のはじめころに、すでにガンは増殖の準備を整えていたことになります。
ガンという病魔に冒されるまで、どのように生きてきたかは人それぞれです。
何千何万本のタバコを吸ってきた人もいれば、1日も欠かさず酒を飲み続けてきた人もいるでしょう。
脂肪分たっぶりの肉を好んで食べてきた人、排ガスまみれの環境で暮らしてきた人、
ストレスばかりたまるような生活をしてきた人。百人いれば百とおりの生き方があったはずです。
しかし、これだけガンの望むような環境づくりに余念のなかった人たちでさえ、
深刻な事態に陥るまでに10〜20年という長い歳月を費やしてきたのです。
ガンのほとんどは発病に至らぬまま消滅します。
考えようによっては、ガンはけっして怖い存在ではないと受け取れるかもしれません。
本来、人間の身体は、体内にガンが芽生えたからといって、
たちまちコロッといくほど脆弱にできてはいません。
また、空気中に浮遊している無数のウイルスや細菌を吸い込んでも平気でいられます。
もともと人間には、内外の危険因子から身を守る「免疫」という生体防御の機能が備わっているからです。
この免疫機能が正常に働いているかぎり、病気とはほとんど無縁の生活を送ることができるのです。
免疫を担う白血球の仲間たち
免疫という言葉は、近頃では日常会話の中でも頻繁に用いられています。
しょっちゅう風邪を引く人は、「免疫力が落ちている」などと、医者からいわれた経験もあるでしょう。
免疫力とは、病気に対する抵抗力といってよいものですが、もう少し正確ニいうと、「自己」と「非自己」を見極め、
非自己のみを排除して自分の身体を守る力ということができます。
非自己とは、食物や細菌、ウイルスなど、外界から入ってきた異物をさします。
わかりやすくいえば、自分なのか他人なのかを識別し、他人を排除するのが免疫力なのです。
非自己に対抗する免疫系の組織には、骨髄、胸腺、肺臓、リンパ腺などがあります。
なかでも重要なのが造血組織である骨髄で、ここでつくられる白血球が生体防御機構の最前線に立って
ガンやウイルス・細菌などの異物(抗原)を駆逐してくれるのです。
白血球には、主に殺菌成分を放出して抗原を迎撃する顆粒球、抗原を認識して抗体を生産するリンパ球、
抗原を食べて消化する単球のマクロファージ、抗原を見分けて攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞などの仲間がいます。
このうち、顆粒球には好中球、好塩基球、好酸球などがあり、
リンパ球にはTリンパ球(ヘルパーT細胞、サプレツサーT細胞、キラーT細胞)、Bリンパ球などがあります。
初期防衛を担当するマクロファージ
免疫細胞が細菌やウイルスといった外部からの侵入者だけでなく、内部で発生するガンも攻撃するのは、
ガン細胞に非自己成分(ガン抗原)が存在するからです。
免疫細胞は巧妙なネツトワークを組織して、常にガン細胞や病原体の動向を監視しています。
そして、それらの姿を認識するたびに、みごとな連係プレーで抑え込みにかかります。
その免疫ネツトワークの初期防衛軍として、最もすみやかに行動を起こす細胞のーつが、大食細胞と呼ばれるマクロファージです。
マクロファージは、血流中では単球として流れ、組織内に侵入してからマクロファージに変化します。
異物(抗原)を察知するや、素早く自分の細胞内に取り込み、タンパク質からできた毒素を発して破壊・消化します。
ガンにかぎらず、細菌やウイルス、古くなった赤血球などの老廃物も格好の餌食となりますが、
大食細胞の名に恥じない旺盛な食欲のおかげで、ほとんどの異物は身体の内奥に害を及ぼす前に一掃されてしまいます。
マクロファージはガン細胞を攻撃する際に、二つの分子を分泌します。
一つはその名もずばり、ガンをたたく腫瘍壊死因子(TNF)、もう一つはNO(一酸化窒素)です。
ガン細胞のなかにはスーパーオキサイド・ディスムターゼ(SOD)という活性酸素分解酵素がないため、
たくさんの活性酸素が存在します。
この活性酸素にNOが結びつくとONOOマイナスイオンになり、ガン細胞を攻撃する強力な武器に変身するのです。
マクロファージはまた、自分が取り込んだ異物(抗原)を物理的・化学的に断片化してその性質を読み取り、
非自己であるとわかれば、すぐにTリンパ球にシグナルを送って活性化させます(抗原提示)。
そして、この抗原提示をきっかけに、免疫軍団がにわかに活気づき、ガンを攻撃する態勢を連鎖反応式に整えて行きます。
厳しい教育を受けて免疫の司令塔となるTリンパ球
免役細胞は、自己と非自己を識別する能力を身につけるために厳しい教育訓練を受けます。
そのなかでも、とりわけ高い能力を身につけた少数(約3%)のエリートたちが、免疫全体を統括する司令塔となり、
無数の機動部隊を動員して異物の排除にあたらせます。このキャリア官僚のような働きをしているのがTリンパ球です。
Tリンパ球は、骨髄で生まれたのち、心臓の上部にある胸腺(Thymus:Tリンパ球のTはこの頭文字)という臓器に移動して高度な識別能力を養います。
ここで一人前に成熟すると、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、サプレツサーT細胞の三つに分化し、
細胞表面に非自己を認識するレセブターを装備して異物(抗原)に反応するようになります。
その最高司令塔である
ヘルパーT細胞は、自分で異物を攻撃しない代わりに、インターロイキン2(IL2)やマクロファージ活性因子(MAF)を放出して
キラーT細胞やマクロファージなどを活性化させ、異物への攻撃命令を下します。
キラーT細胞は、文字どおりの殺し屋で、パーフォリンと呼ばれるタンパク質からできた毒素を武器にガン細胞の細胞膜に穴をあけます。
穴があいただけでガン細胞は死滅しますが、その穴からさらにグランザイムというタンパク質分解酵素を送り込み、
ガン遺伝子まで破壊してしまいます。
また、キラーT細胞から放出されるFas分子は、遺伝子に組み込まれた自殺ブログラムを発動させる引き金となり、
ガン細胞をアポトーシス(自殺)に追い込みます。
サブレツサーT細胞は、異物の勢力が衰えた段階でヘルパーT細胞の活動を抑制し、攻撃を中止させる役割を果たしています。
抗体ミサイルで敵を射止めるBリンパ球
Bリンパ球は、胸腺に移って教育を受けるTリンパ球とはちがい、骨髄で生まれ、骨髄で訓練を積んで一人前の細胞に成長します。
骨髄を意味するBone
Marrowの頭文字が細胞名に冠されているのはこのためです。
Bリンパ球は、ヘルパーT細胞から伝えられた異物(抗原)の情報をキャッチすると、その特徴に合わせて大量の抗体を生産します。
抗体は、みなY宇型の構造をしていますが、
その両先端部は「可変部」と呼ばれる長短2本ずつのポリペプチド(たくさんのアミノ酸がペプチド結合したもの)からできており、
この部分が微妙に異なることで、一つの抗原に一つの抗体だけが結びつくしくみになっています。
よくカギとカギ穴の関係にたとえられますが、こうした独特の構造のおかげで億単位の抗体をつくりだすことができるのです。
抗原と結合した抗体は、ピンポイント攻撃で抗原のもつ毒素を中和し、正常細胞に危害が及ぶ前に出鼻をくじいてしまいます。
ヘルパーT細胞は、一度侵入してきた抗原を記憶にとどめ、同じ型の抗原が再び襲ってきたときには、
より迅速にBリンパ球に情報を伝えて抗体をつくらせるようになります。
一度ハシカにかかると二度とかからないといわれるのは、免疫記憶による抗原抗体反応によってハシカウイルスが封じ込められてしまうからです。
ただ、Bリンパ球は、外部から進入してくるウイルスなどへは威力を発揮しますが、内部で発生するガンにはあまり積極的ではありません。
その点、同じリンパ球のなかでも異色の存在であるNK細胞は、ガンに対する攻撃性がきわめて高いのが特徴です。
ガンの天敵であるNK細胞
NK細胞は、とくに攻撃命令を受けなくても、ガンを見つけると即座に反応することができます。
この速攻性があるために、好中球やマクロファージなどと並んで初期防衛でも貴重な戦力となっています。
また、細菌を得意とする好中球や、異物とあれば何でも見境なく飛びつくマクロファージとはちがい、
NK細胞は特異的免疫機構に認識されにくいガン細胞を見分けて攻撃します。
NK細胞は1個のガンを攻め終えると、次々とターゲツトを変えて立ち向かっていくタフな力を備えていますが、
その活力源となっているのはヘルパーT細胞が放出するIL2やIL12、IL18などです。
NK細胞がガンの天敵となって大きな働きをするためには、やはり刺激を受けて活性化されることが必要です。
共同作業で成り立つ免役システム
以上、免疫システムの表面をサーッとなぞってきました。
たしかなことは、こうした免疫細胞などによる防衛戦が、私たちの体内で1日24時間休むことなく繰り広げられているということです。
この戦いは、時間との勝負であり、いかに効率よく援軍を配備するかの情報戦でもあるのです。
前述したように、免疫を担う細胞にはマクロファージや好中球、NK細胞などのように初期防衛で活躍する細胞群もいれば、
一連の情報伝達・刺激を受けてから、はじめて行動を起こすTリンパ球やBリンパ球などの細胞群もいます。
初陣が対処している間にも後方部隊に情報が伝えられ、第二・第三の堅強な包囲網が張り巡らされます。
さらに初期に活躍した細胞群が再び後方支援に回るなど、免疫システムは巧みな連係プレイで異物の駆除にあたっているのです。
免役システムが正常なら健康は維持できる
免疫細胞の増殖・分化、働きの促進・抑制などの調整に当たり、自らも攻撃の武器になるサイトカシン(免疫活性物質)の働きも重要です。
たとえば、マクロファージが放出するIL1やIL12がなければヘルパーT細胞が活性化されることはなく、
ヘルパーT細胞から分泌されるIL2などによる刺激がなければ、キラーT細胞の活性化も、Bリンパ球の抗体生産も促進されることはないのです。
あるいは、抗体の働きを助ける「補体」と呼ばれる、特殊なタンパク質のなかには、
異物を取り込みやすい状態にするソースの役目を果たしているものもあります。
これが、マクロファージなどの食細胞の食欲を刺激して、動きを封じ込められた異物の最終処理に当たらせているのです。
このように、免疫システムは綿密な協力体制の上に成り立っており、いずれの機能が欠けても、身体を健全な状態に保つことができません。
逆にいえば、免疫システム全体がうまくコントロールされて初めて健康を維持できるということになります。
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