「コラーゲン」の基礎知識

1.「コラーゲン」とは

2.お肌の状態を握る「コラーゲン」

3.骨と「コラーゲン」

4.「コラーゲン」とビタミンC




1.そもそも「コラーゲン」とは何でしょうか?
一言でいえば、タンパク質です。
私達の体を構成するタンパク質のうち、約1/3は「コラーゲン」で出来ています。人間の身体は、約60兆の細胞から成り立っていますが、これらの細胞は髪の毛、爪、血管、内臓など、どこをとっても細胞同士がつながってできているのです。細胞と細胞の間には、必ず「コラーゲン」があって、細胞同士をくっつけています。

また、「コラーゲン」は身体の中で、その他のさまざまな役割を果たしています。
皮膚の「コラーゲン」は、お肌をみずみずしく保ち、ハリを与え、またトラブルを起こしにくくしています。膝やひじといった関節などに存在する軟骨の「コラーゲン」は、さながらクッションの役割をして体重を支える部位の負担を軽減しています。また、血管の「コラーゲン」は血管をしなやかに保ち、臓器にある「コラーゲン」はそれぞれの臓器が円滑に働くよう役立っているのです。

老化は「コラーゲン」の衰えから

しかし残念なことに、加齢とともに「コラーゲン」も老化します。「コラーゲン」は、体内で常に新陳代謝を繰り返しているのですが、年令とともに新しい「コラーゲン」を作る機能も衰えを見せはじめます。例えば、40歳の「コラーゲン」新陳代謝速度は、17ー18歳の頃と比べて約半分以下になるといわれています。
「コラーゲン」が老化すると、水分が少なくなり、固くなってしまいます。このようになった古い「コラーゲン」が分解されず、体内にそのまま残っていると様々な不都合が起こってくるのです。通常、細胞は体内で新しく合成される一方で、古くなった細胞は分解されます。分解された細胞は「コラーゲン」を通過して血管に運ばれ、体外に排出されます。しかし、「コラーゲン」が古く固くなっていると、老廃物は行き場がなくなり、細胞中に居座るようになります。
血管の壁に柔軟性が失われると動脈硬化になりやすく、関節の動きが滑らかに行われないとこわばった動きとなって痛みを伴う可能性が増します。骨の細胞を繋げるのに欠かせない「コラーゲン」が衰えると、骨の組織も弱いものになってしまいます。肌のみずみずしさもなくなり、やがてシミやシワ、たるみといったトラブルが増えはじめるというわけです。

2.お肌の状態を握る「コラーゲン」

ではここで特に身近な「お肌とコラーゲン」の関係についてお話ししましょう。

その前に、そもそも私たちの皮膚の構造はどうなっているのでしょうか。
私たちの皮膚は、大きく表皮と真皮に分けることができます。表皮は一番外側に見えている角質層と、新しい皮膚の細胞を作る基底層からなりますが、基底層を支える役割を果たしているのが、その下に存在する真皮です。この真皮部分の70%を占めているのが「コラーゲン」で、表皮の保水力のカギを握っています。
真皮の中で、網目のように張り巡らされた「コラーゲン」が、水分を保ち、肌の弾力をつかさどっているからです。真皮層は20歳前後を境にして、加齢とともに薄くなっていきますが、「コラーゲン」を補給して新陳代謝を活発にしてやると、この現象をゆるやかにすることができるのです。

それなら、「コラーゲン」配合の化粧品を積極的に使うことで肌の老化は防げるのでしょうか? 残念ながら、答はノーです。化粧品に使われる「コラーゲン」は、主に保湿剤としての役割しか持たないので、肌の上からいくら重ねても、表面の角質層に潤いを与えるといった、一時的な効果しかもたらしません。科学的に言って現在の化粧品技術では、化粧品をいくら肌の上から与えても、真皮部分にまで到達させることは不可能といえるでしょう。

3.骨と「コラーゲン」

女性が特に気をつけなければならない病気に骨粗鬆症があります。これは皆さんご存知のように、骨のカルシウムが流れ出して骨がもろくなる症状です。骨を強く保つためには、ビタミンDとカルシウムが重要というのは、よく知られていますが、ここでも「コラーゲン」が非常に重要な役割をするということはご存じでしたか?

骨粗鬆症はカルシウムが無くなるのだから、それを補えばすむと思いがちですが、お医者さんに通っても、牛乳をたくさん飲んでも、結果は芳しくありません。実はカルシウムやビタミンDだけをせっせと摂っても、骨は丈夫にならないのです。カルシウムの固まりのように思える骨も、本当はその20%は「コラーゲン」で出来ています。
「コラーゲン」は骨の中で、ビルに例えるなら鉄筋のような役割を果たしていて、ちょうどコンクリート部分にあたるカルシウムやリンなどをしっかりとつなぎ留めているのです。「コラーゲン」が古くなると、この接着力が弱まってしまいますので、せっかく補給したカルシウムも、骨に定着できないというわけです。

関節の健康にも「コラーゲン」

関節や腰がきしむように痛い、歩くことや家事をするのが辛いという方、こんな方にも古くなった「コラーゲン」は大敵です。

関節がなめらかに動くためには、骨と骨がつながる部分にある軟骨がクッションの役割を果たしています。軟骨はその弾力性を保つため、水分を多く保持する必要があり、その役割を軟骨の50%を占める「コラーゲン」が担っているのです。「コラーゲン」が老化すると、水分が保持できなくなり、硬くなった軟骨は少しずつ摩耗していきます。膝や腰といった、体重を支える部分の関節は負担が大きく、他の部分よりも軟骨の摩耗が早まります。軟骨が摩耗すると、硬い骨同士がぶつかり合うので、やがて骨の形が変わり、痛みを感じやすくなります。
弾力性のある軟骨を再生するためには、やはり古く硬くなった「コラーゲン」を、新しいものに入れ替える必要があります。「コラーゲン」を積極的に摂ることで新陳代謝を活発にすれば、新しい「コラーゲン」のみずみずしさで、関節のクッション機能を回復させることができるのです。

「コラーゲン」は栄養素
このように、「コラーゲン」は全身の細胞をひとつひとつ包み込み、体の機能を正常に保つため存在しています。肌・関節痛・骨粗鬆症にとどまらず、リウマチ・膠原病・アレルギー・癌などに対する効用も、取りあげられはじめています。今後の「コラーゲン」の研究には、大きな期待が寄せられていて、より効率の良い摂取の方法の研究などが始まっています。

4.「コラーゲン」とビタミンC

最後に大事な話をします。「コラーゲン」とビタミンCはセットで摂らなければ意味が無いのです。現代では誰もが知っているビタミンCも、その存在らかになるのに何百年もの歳月を要しました。ビタミンCは生体内における各種の物質代謝に関与していますが,最も重要な作用は「コラーゲン」の生成と保持なのです。ビタミンCが不足すると「コラーゲン」の生成と保持ができず、身体中の血管がボロボロになり、出血性の傷害が各器官に起こる、いわゆる「壊血病」になります。このことは中学校の保健の時間で習ったと思います。

ビタミンCの発見はノーベル賞もの

この病気は16世紀から18世紀の大航海時代には海賊以上に恐れられました。バスコ・ダ・ガマのインド航路発見の際には 160人の乗組員のうち 100人が「壊血病」で死亡しています。1747年に至って初めてイギリス海軍医ジェームス・リンドがオレンジやレモンなどの柑橘類を食べることで 予防できることを発見しました。その後、イギリス海軍では水兵に毎日ライムジュー スを飲ませるようにしたため、イギリス海軍の水兵は今でも“ライムジューサー”と呼ばれるそうです。経験的に「壊血病」予防の方法は見いだしたものの、それがビタミンCによるもので、更にビタミンCの構造が決定され、合成に成功するのは1933年のことです。 (余談ですがビタミンCの合成に1933年に成功したライヒスタインはノーベル賞を受賞しています。)

ビタミンCがなければ「コラーゲン」は作られません。

ところで、ビタミンCが不足すると何故血管がボロボロになるのでしょうか。それは、ビタミンCがなければ血管を構成している「コラーゲン」の合成できないからです。「コラーゲン=(タンパク質)」を作っているアミノ酸のヒドロキシリジンとヒドロキシプロリンは、リジンとプロリンがビタミンC によって水酸化されて初めて作られるのです。血管だけでなく、皮膚や骨など全身の組織も支えるている「コラーゲン」の生成に、ビタミンCは必要不可欠なのです。

多くの「コラーゲン」健康食品に配合されているビタミンCには、単なる味付けではなく、こんなに大きな意味があるのです。
現代人の難病ともいうべき骨粗鬆症は、原因としてカルシウム不足ばかりが注目されていますが、案外ビタミンCと「コラーゲン」の不足が原因の「壊骨病」とでも呼べる病気なのかもしれません。

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